こんにちは、弁護士・公認会計士の青山英樹です。
今回も、相続税法と民法についてご紹介したいと思います。
遺産分割の協議に際して、よく以下のような相談を受けます。
「亡くなった父を被保険者とする生命保険金3000万円の受取人が自分であったため、自分が全額を受け取りました。これも遺産に含まれ、遺産分割の対象となり、(相続人である)兄弟で分ける対象となるのでしょうか?」
ご存知の方も多いかと思いますが、生命保険金請求権は、「民法上」は遺産に含まれず、遺産分割の対象とはならないということです(ただし、例外的に、生命保険金が特別受益に準じて持戻しの対象となり、遺産分割において考慮されることはあります、最高裁第二小法廷平成16年10月29日決定参照)。
これに対し、相続税法上は、保険料を負担しているのが被相続人であった場合には、生命保険金も「みなし相続財産」として、相続税の計算をするに際して計算の対象となります(相続税法3条1項1号)。ただし、ある一定の金額については、非課税となります(相続税法12条1項5号)。
上記のような違いが生まれるのは、税法では「相続税の担税力」に注目しているのに対して、民法では「相続人間の公平」を重視しているためであるといわれています。
なお、生命保険金請求権と同様に、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となるものとして、死亡退職金や定期金に関する権利などがあります。
(文責:弁護士・公認会計士 青山英樹)