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相続税法と民法④

弁護士・公認会計士の青山です。久々のブログ更新になってしまいました。今回も、民法と相続税法のお話しです。

 

遺産分割のご相談を受けると、「生前贈与については、過去3年分のみしか考慮されないんですよね?」というご質問を受けることがあります。結論から言うと、これは誤りです。

 

 

まず、民法第903条1項では、以下のように「特別受益」というものが規定されています。「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。」

 

特別受益に該当するものとして、具体的には、結婚の際の持参金や、大学などの学費(他の相続人が受けていない場合)、開業資金などがあります。

 

上記の特別受益に該当する場合、「特別受益の持戻し」をしなければなりません。これは、特別受益分も「相続財産」だったと仮定し、相続分を計算する方法です。持戻しの期間には制限がありませんので、何十年も前の特別受益でも該当します。

 

ここで、特別受益を受けた者の実際の相続分が、特別受益額を超えていれば、差額分だけ相続を受けられます。しかし、実際の相続分が特別受益を下回った場合には、相続を受けられません。

 

事例で説明しますと、仮になくなった父親の相続財産は全部で2700万円、相続人が長男、次男、長女の3人で、そのうち長男だけが特別受益を受けていた場合を考えてみます。具体的には、長男だけが住宅資金として、父から生前に1200万円を贈与されていたとします。

 

特別受益1200円を持ち戻すと、相続財産の総額は2700万円+1200万円(特別受益)=3900万円となります。そして、子ども1人あたりの相続分は 3900万円÷3=1300万円となります。

この場合、長男の相続分は、相続分から特別受益分を引いた、1300万円-1200万円(特別受益)=100万円となります。

他方で、次男、長女の相続分は、各1300万円になります。

結果的に、以下のようになります。

長男の相続分:【100万円】

次男の相続分:【1200万円】

三男の相続分:【1200万円】

1200万円+1200万円+100万円=2700万円です。

 

そして、他の相続人が特に申し立てなければ、特別受益を考慮しなくても、民法上は、特に問題ありません。相続人全員が合意できれば、特別受益を考慮しない遺産分割も有効です。

 

 

 

 

これに対し、相続税法19条では、当該相続の開始前三年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなして相続税の計算をするべき旨が規定されています。

 

特別受益であろうとなかろうと、相続開始前から3年以内に受けた贈与は相続税の課税対象に含めて計算しますし、3年を超えたものは特別受益であっても除外して計算します。

 

 

 

特別受益は、相続人間で財産をどのように分割するか」を定めた民法上の規定であるのに対して、「3年以内の贈与も相続税の課税対象とする」のは相続税法の規定で、全く別の概念です。

 

以上ですが、「民法と相続税法」のお話しはこの程度にさせて頂き、次回からは、「債権法改正」(民法改正)について書かせていただく予定です。

 

(文責:青山英樹)

 

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